エリザベス・ダン、マイケル・ノートン『「幸せをお金で買う」5つの授業』

読書会

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「幸せ」は「お金」で買える

出典元:O-DAN

 今回は、収入を増やす人よりも、手に入れたお金をうまく使える人の方が幸せになれることを科学的に証明した本について紹介します。

 それは、エリザベス・ダン、マイケル・ノートンが書いた『「幸せをお金で買う」5つの授業 』という本です。

 この本は、「手に入れたお金をどう使うか」ということに焦点を当てた貴重な専門書になるので、一部の読者層からは有名な本になります。

 「お金の稼ぎ方」についての本はたくさんあるんですけど、「お金の使い方」についての方法について述べた専門書はかなり少ないんですよね。

 驚くべきことに、この本では私たちのいまの収入が仮に倍になったとしても、人生の満足度は9%くらいしか上昇しないと述べています。

 しかし上手くお金を使うことができれば、私たちは人生を何倍にも充実させることができるということになります。

出典元:O-DAN

 この本は、名前のとおり5つのテーマに分かれています。

 内容の1つひとつが深いテーマになるので、この本の紹介も思い切って5回に分けて紹介したいと思います。

この本を手に入れるまでの道のり

出典元:O-DAN

 この本は、定価は1600円位なのですが、知る人は知る有名な本なので、今ほとんど手に入れることが難しい本になっています。中古では何冊か販売されているのですが、それでも当時は安くて5,000円以上はしました。

 ちなみに今は中古でも1万円近い値段で売られています笑

 私はこの本を手に入れるために、1日1食の断食生活を1週間続けました。

 そして…!ついに…!

 なんとかこの本を中古で手に入れることができました!!

 この本を読み終えて思ったのは、この本は5,000円以上の価値があるということです。

 「買ってよかったな」と心から感じました。

 今回は私がこの本を読んで特に印象的だと感じた部分について紹介します。

「○○」を買う

Q ではここでみなさんに質問です。

 先ほど、この本はテーマが5つに分かれているという話をしました。

 今回お話しする内容は、この5つのテーマのうちの1つについて話すのですが、この空欄に入る言葉は何でしょう。

 ヒントは漢字二文字です。いま表示されているいらすとを参考にしてもOKです。

A 幸福

A 豪邸

A 仲間

A 娯楽

A 笑顔

A 時間

 …正解は、「経験」です!

 実はですね、私たちは物を買うよりも、旅行などの経験にお金を使うほうが幸せになれるということがいくつかの研究で分かっています。

人生の満足度に関する研究

出典元:O-DAN

 それを証明したのが関西学院大学の研究です。

 ドイツで約16年にかけて数千人を対象にしたもので、自分の住んでいた家に不満があったので、新しい家に引っ越した人たちを追跡調査したものです。

 おそらくこれは想像ですけれども、たとえば凄いぼろぼろの家に住んでいる家族がいて、赤ちゃんが生まれたと。

 それで家族が7人になって、おじいちゃんが「家族7人で六畳一間は限界や!プライバシー侵害や!」って文句言ってる。

 そこでその様子をみたお父さんが「じゃあ新築でも買うか」って提案とかした家族がいたんでしょうね。

 そしたら、新しい家に引っ越した家族の満足度はどうなったかというと、上がりました。

 でもその満足度は、一時的だったということがわかったそうです。

 ここからわかることというのは、人はたとえ新築を買ったとしても、幸せは一時的であって、そこまで上がらないということです。

出典元:O-DAN

 ここから一歩踏み込んで、テキサス大学の研究では、長期的にみたときに、人は物を買うよりも、旅行などの経験を買う方が幸せになることが分かったそうです。

 つまり、物よりも経験のほうが満足度は高いということです。

 なのでお金については高価な物を買うよりも、

・好きな歌手の音楽を聴く

・誰かのためにプレゼントを買いに行く

・美術館にいって絵画を鑑賞する

・大切な人と一緒の時間を過ごす

 とか、そういった体験にお金を使うほうが、より長く幸せを感じたり、喜びを感じたりできるということが明らかになったそうです。

超幸せだった箱根旅行

筆者撮影

 そこで実際に、幸せなお金の使い方をするために、私も経験を買うということを実践してみました。

 何をしたのかというと、私が19歳の時からずっと行きたいと考えていた「箱根ガラスの森美術館」と「彫刻の森美術館」まで旅行しに新幹線に乗って神奈川県まで行きました。

 これまでは、神奈川の美術館に行くためには、駅の行き方を調べたり、運行表を調べたり、営業時間を調べたり、宿を抑えたりとかしないといけないからとか、今は就職活動中だからとか、就職は決まったけど卒論を執筆しないといけないとか、正直いろいろ面倒だなと思って落ち着いたときにいこうと考えていました。

 ですがこの考え方だと、きっと僕は何かと理由をつけてずっと行かないだろうなというのもあって、思い切って行くことにしました。

 そこで私は、土日祝日を除いて、1か月1日1食の断食生活を続けて、こつこつ予算をためました。

 そして…ついに…!お金がたまって、いくことができました!

 これまでいつかいきたいと夢見ていた「箱根ガラスの森美術館」と「彫刻の森美術館」を観ることができました。

筆者撮影「箱根の森美術館」
筆者撮影「箱根の森美術館」

 行った感想としては、めっちゃ楽しかったです!超幸せでした!超きれいでした!

 当時の僕の頭の中は、このいらすとのような気分でしたね。

 とにかくですね、経験できてよかったですね。

 社会人になるとなかなか時間を作るのは大変というのは、みなさんも良く理解されていると思うんですけど、その時に、落ち着いたらいつか行こうとか、タイミングのいいときに行こうと思うのは甘い考えだったなと反省しました。

 当時の僕は、あの時行けばよかったとずっと後悔する連続でした。

 「自分にとっていいタイミングなんていうのはない。こういった経験をするチャンスというのは走りながら掴んでいくしかない。

 今になって初めてそれにやっと気づくことができました。

筆者撮影「天山湯治郷」

 実際に経験について研究したコーネル大学の調査によると、こういった経験を買うかどうか迷ったときのことを振り返った人々の83%は、行動に移さなかったことを最大の後悔としていることがわかったそうです。

 自分が行きたい場所に旅行したいけどその経験を買わなかったことについては、10人いたら8人以上が後悔すると答えているということです。

 いま私がお話しているのは旅行に関しての例なんですけれど、自分が行きたいと思っているところがあるなら、その経験を買ったほうがいいということになります。

幸せを左右するもの

出典元:O-DAN

 経験を買うというところのいいところは、たとえば旅行をしている間だけではなくて、この先何年も何十年にわたっても、楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながるということです。

 幸せだと感じる状態が、今後も長く続くものになって、自分たちの人生を豊かにしてくれるということです。

 この本では、ニュージーランドで行われたある研究についても紹介されていたんですが、その研究によると、私たちが日常生活をしているときよりも旅行中のほうが幸せだと感じていたこと、さらには、旅行中よりも、旅行から帰ったあとのほうが、旅行中に実際に感じていた楽しさよりもっと楽しかったと私たちは感じるそうです。

 なので、経験を買うというのは、私たちの人生の長い期間を通して、かなり強い影響を私たちに与えるということになります。

 物質的な買い物、つまりただ物を買っただけということに対する満足感は減少する傾向があるのに対して、こういった経験的な買い物に対する満足感は、時が経つにつれて増していく傾向があるという結果が出ています。

「箱根黒たまご石鹸」を買うときに

筆者撮影「箱根の湯」

 ここまで話を聴いた方は「物を買ってもあまり幸せには影響しないのか」というふうに疑問に思う方がいるかもしれませんが、結論から言うと、物の買い方によります。

 物は買い方によって、ただ物を買うという「物質的な買い方」になるのか、今後の満足感にも影響する経験的な買い方」になるのかに分かれるということになります。

 いくら経験を買うというのが大事といっても、泊りがけの旅行に行くというのはハードルが高いと思いますので、比較的簡単にできる幸せの買い方についても紹介したいと思います。

 例えば、私が先日旅行した箱根では温泉にも行ったんですが、そこには「箱根黒たまご石鹸」というのが売られていました。

 これをただ「ちょうど石鹸が切れていたから買うわ」と思って買うのは物質的な買い物になるので、だんだんだんだん買った後から幸福度が下がっていって、あまり幸せを感じにくいということになってしまいます。

 ただこれを、「この箱根黒たまご石鹸を買ったら家族が喜んで使ってくれるのではないか」「この箱根黒たまご石鹸のおかけでお肌がつるつるだわと嬉しがってくれるのでないか」と想像して買うと、ただ物を買うという「物質的な買い物」から「経験的な買い物」に変えることができるということになります。

 するとですね、時が経つにつれて私たちは幸せを感じ続けることができるということになります。

 同じ「物を買う」という行為でも、この物を買ってどういう経験ができるのか、どんなことをしたいのか、どんな効果を及ぼすのかを考えて買うと、物質的な買い物から経験的な買い物にすることができます。

 なので例えば結婚祝いとかでも経験をプレゼントできるものをしたほうがいいと思います。

出典元:O-DAN

 私はまだ結婚式には参加したことがないんですけれども、今後もし結婚式に参加するときには、これまでは結婚祝いは商品券5,000円分とかをプレゼントするのがいいかなと思っていました。

 そのほうが汎用性が高いし、いろんなものに幅広く使えるので便利かなと考えていたからです。

 ただ、こういった物をプレゼントするよりは、体験につながるようなイベントチケットをプレゼントとするとか、新郎新婦が好きなアーティストとか芸能人をサプライズ的に招待してみるとか、そういう経験的なものをプレゼントするのが喜ばれるということになります。

喜びを最大化する4つの基準

出典元:O-DAN

 最後に経験を買う4つの基準について紹介しておわりにしたいと思います。

 この本では、どんなタイプの経験でも、払ったお金に対して最も大きな喜びを得られるのは次のような4つの基準を満たすものがいいとしています。

①社会的に繋がることができる

 1つが他の人々と交わることによって、社会的なつながりが生まれるような経験です。

 例えば、仲の良い友達と一緒にパーティーを開いたり、趣味の音楽が好きな人同士が集まったりして、人と繋がることがあげられると思います。

②繰返し楽しい気持ちで話せる

筆者撮影「彫刻の森美術館」

 2つ目は、この先何年もわたっても楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながるものであるということです。

 先ほどの例でいえば、箱根に旅行にいって、美術館巡りをしたということがそうです。いつでも楽しく繰り返し語れる経験ができたということになります。

③なりたい自分像に密接に結びついている

出典元:O-DAN

 3つ目は、なりたい自分像に密接に結びつく経験であるということです。

 例えば、料理がうまくなりたいのであれば調理器具セットを買ってみるとか、料理教室に通うなどがあると思います。それで最終的に自分がなりたい像に近づけていくということです。

④簡単に比較できないほど貴重な経験である

筆者撮影「五木寛之 講演会」

 最後4つ目が、他の選択肢と比べものにならないくらいの貴重な経験であるとういことです。

 私の好きな作家に五木寛之という作家がいるのですが、私が21歳のときに地元で講演会があって、その五木寛之の講演会に参加したときは、ただ単に五木寛之の本を読むのとは全然違う貴重な経験をすることができました。

 今でも思い出すととても幸せな気持ちにさせてくれるものです。

 こういった簡単に比較できないほど貴重な経験も、自分たちの人生の喜びを最大化する基準のひとつということになります。

 興味深いのは、経験した時間的な長さというのは、幸せとは相関関係がないという点です。

 たとえ一瞬だったとしても、1か月という長い期間であったとしても、そういった時間的長さは、自分たちがその経験から得られる喜びとか幸せに、ほとんど影響しないということです。

 私たちはたとえ短い時間の経験であったとしても、幸せになれることができるということです。

まとめ

出典元:O-DAN

 「経験を買う」についてのまとめです。

①経験にお金を使うことで満足感は上昇する

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 私たちは単に物を買うよりも、経験的な買い物をしたときにより幸せを感じ、そのような買い物に対して、「お金を上手に使った」と感じるということです。

②経験的な満足度は、時間とともに増していく

出典元:O-DAN

 ただ物を買うという物質的な買い物の場合の満足感は、時間の経過とともに減少する傾向にあるのですが、逆に経験的な買い物による満足感は、時間が経過すると増していくということです。

③経験的な思い出は永遠である

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 経験的な思い出であれば、いつでも私たちは幸せな気持ちを思い出すことができる。何か辛いことがあったとしても、自分たちには確かに幸せな時期はあったんだというふうにふと思い出して、その思い出を心の支えにすることができる。

 具体的にはあえていいませんが、私は近年生まれて初めて、大事に貯めてきたお金を使って、幸せな経験をして涙が出たということがありました。

 よく「幸せを感じて涙が出る」という表現がありますが、こういうことをいうんだなと思って感動した覚えがあります。

 きっと5年後も10年後も20年後も、このある経験、経験的な思い出をおもいだして、つらい時期もあるけど、こういう幸せな経験もできた。それは本当に幸せなことでいいお金の使い方をしたなと思うことができる。経験できて本当に良かったなと感じることができる。

出典元:O-DAN

 そういうお金の使い方、幸せになるためのお金の使い方の一つとして、今回は5つあるうちの「経験を買う」というテーマで紹介させて頂きました。

 次回は残り4つのうちの1つについて紹介していきたいと思います。

 今回紹介した方法や次回以降も紹介していく幸せなお金の使い方ができれば、今よりは幸せになれると思いますので、次回の紹介も楽しみにして頂ければ嬉しいです。

 これで紹介は以上になります。ありがとうございます。

質疑応答・感想など

出典元:O-DAN

 「経験」を買うについての話を聴いて、いわれてみればそうだなって思って聴いていました。

 物質的な買い物であっても、物を買うときに経験的な買い物に変えたほうがいいということですかね。

 たとえばチャゲアスとか自分が好きなCDを買いたいとなったときに、ただ欲しいから買うというだけではなく、「その曲を聴いて自分がどんな気分になるんだろう」とか「このCDを友達にも聴かせよう」とか想像して買うと、経験的な買い物にできます。

 経験的な買い物は、買った後も人生の満足度を上げてくれるので、買い方を工夫して経験的な買い物に変えたほうがいいということになります。

 山崎浩子さんという方がいます。この人の声は人を幸せにする。

 私はそれまで興味がなかった。でもある方にこの人のCDを聞いてみたらと勧められて、そのCDを買ったら「あぁ良い買い物をしたなぁ」と感じました。

 経験的な買い物とういのはそういうことなのかと思いましたね。

 先ほど紹介した「喜びを最大化する4つの基準」の一つに、「社会的に繋がることができる」ことがありましたが、今回良い買い物をしたと思えたのは、人と繋がることができたというのが大きな要因だということになりますね。

 逆に俺は失敗した例。自分が5年か10年前に買った。

 でも俺「ジャケットがすごくかっこよかったから」と思って買った。

 これは動機が不純なんですよ。こういった理由で買ったCDがよくなかった。

 使った金額は合計で20万円。でも買ってこうしようというのがなかった。だから後悔してるんだよなぁ。

 実際にこの本で紹介されているコーネル大学の研究では、物質的な購入は、物を買ったことを後悔する割合が高いことを述べています。

 今後は、できるだけ経験的な買い物にすることができたらいいなと私も思います。

 例えば、何かやろうとして、経験を買って、後悔した場合はどうですか。

 確かに経験の中に、後悔したことや不快な出来事というのはあります。

 私は寒いのが苦手なので、今の季節神奈川はめちゃくちゃ寒かったですし、歩きすぎて筋肉痛にもなったりしました。

筆者撮影

 途中雨が降って傘を買った後に雨が止んで買ったことを後悔することもありました。

 ただ面白いのは、この本にはニュージーランドの研究も紹介されていまして、経験の中に不快な出来事があったとしても、それは全体の経験的な評価には影響を与えないということがわかったそうです。

 部分的に見たら確かにマイナス的なんですが、箱根旅行という経験全体でみると、最終的には経験できて良かったということになる。

 なので、基本的に経験を買った場合は、経験したことを後悔することはないと考えていいと思います。

 そういえば「地球を彫刻したい」という人がいた。

 北海道にある広場で、「地球を彫刻する」というテーマで、土地を削ったりしてから、有機的な空間を作っている。

 みなさん経験したいことありますか。僕は自転車で世界一周とかしたいですね。

出典元:O-DAN

 旅行ここ数年ずっと行けてないなぁ。行きたいなとは思うんだけどね。

 物事ってやり始めが一番エネルギー使うみたいです。

 なので思い切って宿を押さえちゃうとか荷物を準備するとかから始めたら、したかった経験ができるかもしれないですね。

 私は人と楽しくやれる卓球や囲碁や将棋したり読書したりするほうがずっと楽しいですね。

 私は沢山儲けるのではなく、本にも書かれてるようにお金の使い方だと思います。

出典元:O-DAN

2022/11/29

・エリザベス・ダン他た『「幸せをお金で買う」5つの授業

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