『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(3/4)
以前から私が紹介している同調圧力に関する本について、今回も引き続き特に印象に残った部分について抜粋します。
この回では、
Q 日本人が議論下手な理由
Q 日本人が休まない理由
Q 日本人の生活保護利用率が低い理由
をピックアップして紹介し、議論ができたらと思います。
Q日本人が議論下手な理由
はじめにQ日本人が議論下手な理由についてです。
そもそも論ですが、意見というのは物の見方であって、立場として上も下もありません。
ただなぜか日本では、「意見が同じ=好き」「意見が違う=嫌い」という議論と感情をごっちゃにしているところがあります。
それを分かりやすく示しているのが、私は学校の評価だと思っています。
実際に成績で高評価をもらった人たちというのは、先生の意見に賛成したり、教授と同じような説をレポートに書いたりした学生がほとんどではないでしょうか。
逆に、先生や教授に対して反対意見を述べた生徒や学生たちというのは、評価を下げられるなど意味の分からないことをされたとうい話もよく聞きます。
実際、私も学生時代に、教授に対して真逆の意見を述べたことがありましたが、それで「あなたはこの学問を学ぶ人としてふさわしくない!!」とブチ切れられたことがありました。
学者でさえも議論と感情が無関係であることも分かっていないので、海外諸国から日本人は議論下手だと批判されるのは仕方がないのかなと思います。
あと、私が個人的に議論が下手だなと思う人の特徴として、「代替案を出さない批判をする人」だと思っています。
ただ一方的に改善点とか悪いところだけ批判して、「じゃあどうすればいいと思うのか」という肝心の部分を何も言わない。ただ批判するだけ。
はっきりいって「代替案のない批判には価値はない」と思っているので、そういう人たちはまず具体的な改善策を考えるところからスタートしたほうがいいと思います。
それから「慣用句の表現が間違っている」とか、「誤字脱字の指摘だけ」とか、そういったことを直してもあまり意味がないことを言ってマウントを取ろうとする人たちもいます。
こういったところも議論が下手な人なんだろうなと思います。あくまで私たちが話しているのは論理だからです。
逆に議論が上手い人というのは、相手が主張していることや自分が主張したいことを適切に理解して、出てきた問題点に対する改善策を、根拠を持って提示して考えることができる人だと思います。
感情的にならず、冷静で客観的に議論ができる人たちとの話し合いは建設的なので、積み木がどんどん積み上がっていって視野が広がっていく感じがとても面白いですね。
ただ、自分たちが積み上げようとした積み木を、ツイッターの炎上コメントみたいな感じで、なぜか横からぶち壊そうとしたりするよく分からない人たちがいます笑
なかなか日本ではそういう建設的なタイプの人は少ないんだろうなと感じました。
質疑応答・感想など
A 違った意見に感情的になる人は多いと思いますね。実際私の周りの人にも多いですね。違った意見も飲み込んでみて、自分の意見を述べることが苦手なんだろうなって思いますね。
自分もちゃんとした議論が苦手なところがあるので反省するんですけど、特に日本人は苦手なんだろうなと思います。
A 教育でもともとあんまり練習をしていないというのもあると思うんですけど、大学のゼミとかで教授との学生との間で議論するというのがなかなかあまりうまくできなかったんです。
ちょっと背景知識の量も違うからというのもあるんですけど、思ったのは、口頭で議論が苦手な人はメールのやりとりとか自分の時間をキープしながら、自分の持ち時間というか、その場で返答するとうまくいえなかったりします。
それで私もなんかその、なんかのときに、メールでまじめに議論をしようとして、まじめに議論するのってめちゃくちゃハードだなと思って、メールの文章を何回も書き直していたんですけど、難しいなと思うところですね。
でもこれって練習するしかないと思います。対面だと怖いから委縮しちゃうというのもありますし、断固として自分の主張をすることができる人ばかりじゃないので、少ないですよね、日本だからなのか、わかりませんけど。
A 偉い人には従うべきだというのはありますよね。
例えばコロナの件だって医者がいっているからマスクしないといけないとか、外出してはいけないとか、医者が言っているのになぜ外に出ているのかと批判されている人はいましたけど、偉い人には従うべきだという風潮がありますよね。
僕はいま会社勤めて一回り下の方とためで話していることもあるんですけど、僕的にはいい。
周りから見たら年上だから偉いんだからというのはありますよね。無条件に従うべきだというところがあるんでしょうね。
A それは戦前のにおいがするんですけど、戦後は民主主義なので一応上に立つ人が偉いというのはなくなったんじゃないかしら。
まあでも、昔の日本の伝統としてあるんですかね、それと同調圧力の関係はなりそうな気がしますね。適切な言い方はわからないんですけど。
A 変なところだけ残ったような気がしますね。昔は確かに偉い人には従うというのと周りと協力するという風潮はあった。
でも偉い人だけ従うというのだけ残っちゃったのかなと思いますね。そこは僕らの世代が少しずつ変えていくしかないと思いますね。
俺は偉いんだよという感じを出さないのは少しずつ広げていくのがいいと思います。
A 同調圧力の関係でいっても、一人違うスタンスで行動するわけなんで、これは同調圧力に抵抗するというのになるので、日本社会を変えていくものになるかもしれないですね。
それをものともしない準備が必要がありますね。
A 気づかれない範囲でやるといいと思いますね。
A みんなかかってる、「人に迷惑かけちゃいけない」のろい。
でも従業員に迷惑かける経営者は糾弾されないって変ですよね…。庶民は恥の概念で苦しんでるのに権力者に厚顔無恥名人多い。教育にバグがあるのでしょうか。
日本人が休まない理由
2つ目はQ日本人が休まない理由について話していきます。
これに関しても実際にデータを調べてみました。
「就労条件総合調査の概況」からもってきたものです。
これは、1 年間に企業が付与した年次有給休暇日数に対して、どれだけ有休を使ったのかというものです。
このデータによると、令和2年度に労働者1 人が取得した日数の平均は 10.1 日で、取得率は 56.6%です。
取得率を産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が 73.3%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が 45.0%と最も低くなっています。
海外だともっている年休はすべて使い切るのが当たり前なんですけど、日本は持っている年休の半分ちょっとしか使わない。
私自身も、過去に直属の上司から「有休をとるのは仕事ができるようになってからや!」って言われて、年休の申請を取り消されたことがありました。
これは裏を返せば、「休むのは悪いこと」という前提があるような気がします。当時の私の有休の取得率は10%程度だったので、典型的な息苦しい会社だったのかなと思います。
ただ、年々日本の年休の取得率は少しずつ上がっているので、私たちが「休むのは当たりまえ」みたいな感覚は、近い将来やってくるのかなと思います。
質疑応答・感想など
A 「休むことは良くないこと」に関しては少しずつ変わっていく感じがしますね。
有休は与えられた日から1年間で5日は年休を取得させなさいというふうに国がなっていますし、若者の間でも増えてきますね。でも休むのは悪いというのはあるでしょうね。
いま私が勤めている会社は休むのは寛容ですが。
A 私も年休は使い切ろうとするタイプなんですけど、周りの人はそこまでではないし、まぁ、休んでもやることがないというのもあるんでしょうけどね、まぁ、それはそもそもやりたいことを自分で考える習慣がないのか…。
A それはあるかもしれないですね。たしかにいざ休んでみたもののやりたいことがわからないとか。
A 実際問題として1日だけ休みがあったとしてもできることは少ないので、バカンスみたいなまとまった休みだといろいろできるかもしれないですね。2週間という単位で休みがとれるのはまだ先ですもん。
A 逆にヨーロッパが不思議な感じがしてしまいますね。
A 1か月とかやすんでますよね。
A 日本人は祝日が多いので、まとまった休みをとらないんでしょうね。
Q日本人の生活保護利用率が低い理由
3つ目は、Q日本人の生活保護利用率が低い理由についてです。
この生活保護についても、自分は自分、他人は他人ができない同調圧力の典型例だと思います。
そういった福祉の制度と関連して、私が気になったのは、日本の所得税が所得に応じて高くなるということです。
学校の世界では、親のお金で塾に行かせてもらったおかげで、子どもの学力が高くなったという例は多いです。
なので、子供の学力は親の影響が反映されると思っていますが、社会人になったあとは、基本的には本人の実力が結果に反映されるものだと思っています。
なので、傾向的には、所得の高い人は基本的には人一倍努力した人間だと思っています。
でも日本って同調圧力の強い国なので、そういう努力している人たちからたくさん税金を取ろうという考え方がある気がしますね。多い人だと収入の半分近く所得税でとられるので。
社会全体で助け合うという福利厚生的な考えが入っていたとしても、少しこれは強すぎるのではと思います。
日本の場合、優秀な人たちはどんどん海外に出ていってしまうのは、そういった実力で稼いだ人たちからたくさんお金を取ろうという日本の制度があるからというのが、理由の一つとしてあるんだろうなと感じました。
質疑応答・感想など
A やっぱり自力で生活できないのであれば渡すべきだと思います。
憲法で基本的人権は尊重されるべきなので、そういう人は間髪入れずに生活保護を渡すべきだと僕も思います。それに関してどうこういうのは違うと思います。いろいろ理由があるはずですから。
たしかにお金持ちからたくさん税金を取る。政治家でもそういう考え方が多い。それは僕もちょっとおかしいなと思います。そういうところで同調圧力をかけるのはおかしいと思います。
A 私はそこまで考えてはないですけど、まぁねぇ、どうなんでしょうねぇ、私はそこまで努力が反映しているとは思っていないんですよね。
なのでお金持ちからとるとうのは、お金持ちからいうと生活保護的な考えから矛盾はするのだろうかと思いますけど、所得が高い人がどれくらい頑張っているのかという問題かもしれませんね。
A もともとお金を持っていたというのもあるでしょうね。
A 所得も親が金持ちかどうかで影響すると思うので、私はそういう意見に触れたからだと思うんですが、個人の努力は一定は影響するとは思いますね、頑張りって意味では、みんな頑張っているとは思うんですけど、私は少し平等主義なんでしょうか。
生活保護については必要だと思うんですが、必要な方は使ったほうがいい。生活保護をもらわずになんとかしようというのも、自助努力というのを、意識しすぎている感じがする。
少なくとも憲法の生存権という考えとは違うロジックになっていって、まぁ、憲法とかじゃなくて、昔からの慣習的なところとか、まぁ、うーん…、まぁそういう考えが影響するんでしょうね。
Q さきほど話された「自助努力を意識している」とは具体的にはどのようなイメージですか。
A ここで私のいう「自助努力を意識している」というのは、困ったときは誰かに助けてもらえばいいということじゃくて、困ったときでも自分でなんとかするべきというのが、ちょっと行き過ぎているせいで、生活保護を利用できないでいるんじゃないかと思うんです。
社会は人と人との助け合いでできているはずなんですけど、いろんな福祉制度を利用できない人が多い。
A 過剰な自己責任は最近の問題ですよね。
A これは最近の問題だなと思いますが、助け合って生きていく社会であってほしいというので、生活保護は使いたい人は使いたい人は使ったらいいし、働きたい人は働ければいいと思います。
あと両方というのも柔軟にとれるような選択肢もあるといいですね。
2022/06/14
鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(3/4)
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