『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(1/4)
今回は鴻上尚史さんと佐藤直樹さんがまとめた『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』を紹介したいと思います。
同調圧力は日本に根強く存在している深いテーマだと思うので、4回のトピックにわけて紹介していきます。
この本では息苦しい同調圧力に関する事例がいくつか取り上げられていましたが、その中でも特に印象に残った部分
Q 加害者に対するバッシング問題
Q LINEの既読無視が問題視される理由
Q 学校の校則
をピックアップして、みなさんと一緒に同調圧力について考えられたらと思います。
みなさんも日常生活の中で、「日本って何でこんなにも息苦しいのだろう」と感じる部分というのはいくつかあると思います。
その息苦しさの代表的な一つを取り上げるとしたら「同調圧力」というのがあります。
ちなみに、そもそも「同調圧力」とは何かということですが、これは「みんな同じに」という命令だそうです。
そのとき同調する対象というのは、その時の一番強い集団です。
多数派や主流派の集団の「空気」に従えという命令が「同調圧力」と定義づけています。
Q 加害者に対するバッシング問題
まずは、Q加害者に対するバッシング問題についてです。
なぜある人が犯罪を犯すとその家族が謝罪をするのか。これも「同調圧力」が原因だと佐藤直樹さんは主張しています。
昔から日本では江戸時代の五人組制度のように連帯責任的なところはありましたけど、その名残がまだのこっているのかなと私は思いました。
そもそも20歳過ぎたら私は自己責任だと思います。20歳過ぎた人間が行ったことについて、親が責任を取るのは不自然だと思います。
Q LINEの既読無視が問題視される理由
次は、LINEの既読無視が問題視される理由について、気になったところをお話しします。
LINEの既読無視については、よく問題視されることがあります。
ひどい時になると、既読無視を理由に学校でいじめが起きたり、同級生を川に突き落としたりする中学生とか出てきてニュースになるときもありました。
既読がついたことについて、もちろん無視している可能性というのもあるんでしょうけれど、他にもいろいろな可能性があると思っています。
例えば、
・後で返信をしようと考える。
・既読をつけた後に急な予定が入って返信できない。
・会ったときに話そうと考えている。
などです。
なぜ既読だけがついたままなのかは、そもそも「わからない」と考えています。
だからそれを無視と決めつけるのはどうなんだろうと不思議に思ってたんですけど、これも同調圧力のせいなのだということを知って、なるほどなと感じました。
Q 学校の法則
最後は、学校の法則についてです。
日本では当たり前のように学生たちが清掃していますが、これがたとえばアメリカの学校だと清掃員を雇っているらしいですね。掃除は一切しない。
日本ではみんなで一緒に清掃作業をすることで、世間のルールを学んでいく。
日本の同調圧力って既に私たちが子供のときから形成されていたんですね。
私が通っている職場でも、毎週月曜日の朝に清掃作業をするのが慣習となっているのですが、これって実は、同調圧力を形成するために行われているのかなと感じました。
それから有休を何回かとったりすると、上司から「あなたが休むとその分周りに迷惑がかかるから、空気を読むように」とか何故か注意されるんですよね。
これも日本特有の同調圧力によるものだと思います。
実際、海外では有休を使うのは当然の権利だと思われていて、しかも取得率という概念がないところがほとんどです。つまり有給は全て使い切るのがあたり前なんですよね。
ただ、日本人は「有休使ったら周りに迷惑かけてしまう」と感じる人が全体の半数以上はいるので、取得率が世界的に低いんです。
2019年4月から、日本では有休の取得が義務化されましたけど、これも「みんな同じに」という同調圧力が背景としてあるのだと思います。
質疑応答・感想など
Q 私の親の教育方針としては、「自分の家は自分の家、他人の家は他人の家」でした。
そういったこともあって、私は友達と群れることが苦手でした。
同調圧力が問題視される一方で、「自分は自分、他人は他人」というのも、それはそれでつるむのが苦手になった。子供時代はとても苦手でしたね。
A 周りと同じようにつるむというのも、「みんな同じに」という同調圧力が原因だとこの本では述べられています。
顔や性格が一人ひとり違うように、考え方価値観も人それぞれ。なので違うのが当然なんです。
国際的にみたら、みんなと同じようにつるむ人たちがいるというのは不自然でしょうね。
Q 同調圧力。日本で問題になっている。確かに私もそうだなと思ってて、過剰な同調圧力は見直さないといけない。
私が一つ考えているのが、昔の日本って、人とのつながりを大事にしていた。困っている人がいたら助けた。
でも今は私には関係ない。助け合いの精神というのがなくなってきている。
A 同調圧力について、この本では正の側面も述べられています。困っている人をみんなで助けよう。でも、今は負の側面だけが残っている印象はあります。
その原因の一つは、SNSなどのネット社会化です。
たとえば困っている人がいて、100万円を募金した。これは一般的には助け合いの精神として評価されるものです。でもネット社会になってそういった行為も可視化されるようになってから、それは偽善だとか売名行為だとか色々バッシングを受ける。
つまり同調圧力の正の側面が負の側面に潰されている。それは問題だと思いますね。日本社会の息苦しい要素のひとつだと思います。
Q こんにゃく畑が一時期販売中止になったことについて、高齢者たちがのどをつまらせて、なくなってしまった。それで販売が中止になったのも、周りからのバッシングが原因。
以前その問題が出てきたときに、私はなぜこんにゃく畑は問題になったのに、おもちは問題にならないのか不思議に思っていました。
おもちものどをつまらせる人もいるのに。こんにゃく畑はするっとのどに向かっていくからでしょうか。
A おもちがバッシングの対象にならない原因は、対象を特定できないためだと思います。
おもちを販売している会社はいくつかあるので、仮にバッシングしようとしても不特定多数になる。
でもこんにゃく畑は対象を具体的に特定することができる。だから集団攻撃されたということだと思います。
Q 犯罪のバッシングで、家族も対象になるのは私も問題だと感じました。
A これ意味わからないですよね笑
小学生の子供を持っている子が問題を起こせば、親の責任が問われても不自然ではありませんが、大人になった人が問題を起こして、その両親がまだ責任を問われて謝罪させられる。
この現象は日本以外だとみられないので、やはり日本特有の問題なのだと思います。
2022/02/26
鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(1/4)
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