はじめに
私は電気関係のお話をしていますので、電気についてシェアさせていただきます。
今回は「原子力発電」についてお話したいと思います。
原子力発電所は拒絶反応が多い設備だと思います。
たしかに原子力発電は危険なものだと思うんですけど、一方では原子力発電所はメリットもあります。
日本の発電事業
2020年度の日本の発電事情。
日本の電気の8割は火力発電でされています。原子力発電は全体の4.3%の割合になっている。
でも2011年2月までは原子力発電が全体の31.3%を占めていた。
原子力発電の割合が31.3%から4.3%まで減ったのは、東日本大震災によって発生した福島第一原発の事故により全国の原発が停止に追い込まれた為です。
原子力発電は、貴重な発電設備でした。
原子力発電とは?
原子力発電ってどういうものなのか。
簡単に説明すると、原子炉と呼ばれる大きな釜の中に水が張られていて、この水を加熱し、蒸気を作ります。この蒸気でタービンを回し電気を得る仕組みになっています。
水を加熱する熱は核分裂反応で生み出し、化石燃料を使用しないのでCO2は発生しません。これが原子力発電の一つ目のメリットです。
CO2を発生しないという点では、原子力発電はクリーンエネルギーと言えます。
核分裂とは?
蒸気を発生させる熱は核分裂で得ると言いましたが、核分裂とはなんでしょう?
全ての物は原子という最小単位で出来ています。原子はさらに原子核と電子で出来ています。
核分裂ではこの原子核が対象となります。
原子核は+の電気を帯びた陽子という粒と電気を帯びていない中性子という粒が沢山集まって出来ています。
この原子核に電気を帯びていない中性子を高速で衝突させると原子核が2つに分裂し、さらに巨大なエネルギーが発生します。これが核分裂という現象です。
核分裂を起こせる物質は限られており、代表的なものがウランになります。
ここで注目すべき事は核分裂で発生する巨大なエネルギーです。
原子核が分裂した際に分かれた二つの原子核の質量を合計しても、元の原子核の質量より軽くなります。
失われた質量はエネルギーに変化しています。このエネルギーの大きさはE=mc2で計算できます。
【計算式】E=mc2
Eはエネルギー、mは質量、cは光の速度です。この値は非常に大きく、核分裂によって莫大なエネルギーが発生する事を示しています。
えんぴつ1本分の質量を全てエネルギーにすると広島・長崎に落とされた原子爆弾1個分のエネルギーになります。
この巨大なエネルギーにより、ウラン1gで石油2000ℓ分の電気を作れます。少ない量で大量の電気を作れます。さらにウランは多くの国で採取出来る為、安定供給が可能な資源です。
少ない量で多くの電気を作ることができ、原料の安定供給が可能という点が原子力発電2つ目のメリットです。
原子力発電が必要とされている理由
何故原子力発電が必要と言われているのでしょうか?
原子力発電は全体の4%程度の割合に過ぎず、無くしても問題ないように思えます。
しかし、日本の電気の8割は火力発電で賄っています。
火力発電は石油を大量に使う為、CO2排出による温暖化問題が避けられず、さらに石油はほとんどを輸入に頼っている状態の為、価格が国際情勢によって変動し、さらに石油輸入国との外交状況によっては石油が手に入らない等のリスクがあります。
再生可能エネルギーも安定供給が困難、コストが高い、別の環境問題が発生するなどのリスクを抱えており、全ての電気を賄いきれません。
そこで、原子力エネルギーが必要とされている訳です。
原子力発電のデメリット
一方で原子力発電にはデメリットもあります。核分裂反応をすることによって、放射能を放出する放射性物質が発生するということです。
だから重大事故を起こさない管理が必要です。
原子力発電によって発生した燃えカスの処理方法が限られます。なので燃えカスの再利用をすることが大切です。
重大事故を起こさないために多くの工夫がされていますが、これは次回の「原子力発電の安全対策」で紹介したいと思います。
原子力発電から学べる教訓
今回のことから学べることは、ゼロリスクのエネルギーは存在しないということです。
再生可能エネルギーにもリスクはあります。なので見えにくいリスクにも注意することが大事です。将来的に大きな負の遺産を残す可能性があります。
これはエネルギーだけではなく、私たちの私生活にも当てはまります。
例えば
・会社員は本当に安定なのか
・銀行にお金をあずければそれはリスクなしは本当なのか
・社会保障の充実はリスク回避って本当か
などがありますね。
E=mc2の式というのは、簡単に言うと質量の大きなものはエネルギーが大きいということです。我々人間には無限のパワーがある。やればなんだってできる存在なんだということだと思います。
質疑応答・感想など
Q 東日本大震災のあと、一時的に節電が流行った。最初夜は真っ暗だったのに、いつの間にかだんだん電気が点いていって、節電が忘れられていった。これはどういう原因があるのですか。
A 原子力発電に代わって、火力発電が代替したからだと思います。
Q 太陽光発電のパネルについて、政府が補助金を出すといっている。それを設置した会社が倒産した。個人宅の太陽光パネルの片付けが困っているというニュースをきいた。
太陽光パネルにしても、車の電気自動車にしても、廃棄って大変なのではないかと思っていて、公表はされていないけど、宇宙にまいちゃえと出てるのではないか。そういったことについて意見をきかせてほしい。
A 宇宙にもゴミ問題があり、今は宇宙にゴミを捨てるという声は聞かなくなってきていますね。
Q 火力発電のデメリットってありますか。
A CO2問題と、日本では、石油が自給出来ていないので、国際情勢によって日本の電気事情が左右されてしまうという点です。
しかし、日本の火力発電の技術は世界一であり、火力発電自体は残すべきです。
Q 日本が一番輸入を続けるために喧嘩をしてはいけない国はどこですか。
A サウジアラビアなどの中東です。日本の石油のほとんどは中東からです。
しかし、どんなに努力をしても対立が起きる可能性はあるので、対立が起きた時の対処は考えておかないといけない。
Q 以前、性能のいい浄水器を買ったら最初のコストはかかるけど、おいしくて健康的な水が水道水から飲めるというので、長期的にみたら、コスパはいいという話を聞いたことがあります。
太陽光パネルも長期的にみたらコスパがいいと考えていいのですか。
A 実は太陽光パネルって元がとれない。効率は昔の3倍くらいになっています。でも元取れない。
本当に元とるならたくさんの太陽光パネルをつかわないといけない。そのためには平地にするために山を切りひかないといけない。
日本の場合は地理的な問題があるので、今の時点では厳しいのかなって感じですね。
2022/03/29
・原子力発電所と安全対策
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