男女格差について ~アテネ世界を参考に~

勉強会

※この記事にはプロモーションが含まれています。

「格差」といえば?

出典元:O-DAN

 最近、なにかと格差の問題が話題となっています。テレビや新聞でも「格差」という見出しが目立つようにりました。

Q ここであなたに質問です。「格差」と一言でもいろいろありますけれども、あなたは「格差」ときいてどんな「格差」を思い浮かべますか?

 「収入」の格差じゃないですかね。

出典元:O-DAN

 自分は感じたことはなんですが、女社会で生きてきたので、私は幼稚園に勤めていたんですけど、絵本のセリフの中でも差別というか格差というか昔の絵本にあるようになって、いまでは読むのがはばかれる時代だなと感じています。

 「男女」格差は残っている感じはあります。やっぱり収入とか働き方とか男のほうが有利な感じがします。

 私も「男女」格差はあると思います。私が働いてきたなかではなくて、そういう業種を選んだというのはあるんですが、違う職種とかで話をきくと、「ああそうなんじゃ」とか感じますね。昇進とかきいたりしますね。

 なので特に日本とかでは根強くあるんだなと感じましたね。だいぶ今は、昔と比べれば。

男性から見た「格差」

 まずは、男性からみた男女格差について考えてみます。

 最近では男性も化粧に興味を持ち始めているみたいですね。これは社会的にも受け入れつつあるようです。

 男性も泥パック。お肌のお手入れ。ネットとか雑誌とかにも、男専用の化粧品が売られているのはびっくりしました。お肌がもちもちするとか、目元に働きかけるとかうるおいを与えるとか何とか。

 いま「女だけ化粧をするなんて不平等だ。男だって化粧をしてもいいんじゃないか」という動きになりつつあります。もし男女平等が認められたら、「ちょっとオレ化粧直しにトイレ行ってくるわ」という発言も、もしかすると珍しくなくなるかもしれません。

 これに関してはいろんな考え方がありますけど、男性も化粧をするのが当たり前の風潮が作られていっているのは、そういった風潮をつくったほうが化粧品会社が儲かるからだと僕は考えています笑

 あとは男女でのデート問題ですね。

出典元:PAKUTASO

 デートに行ったとき、誰がごちそうするか問題というのもあります。もちろんLGBTQであれば男性同士、女性同士のデートも考えられますが、ここでは男女で考えます。

 最近では割り勘するカップルが増えているみたいですが、一方で、まだ男性も女性も男性がおごったほうがかっこいいみたいな風潮は残ってるみたいですね。

 ある番組で、同年代の男女のデートについてインタビューを受けていたある若い女性が、「一緒に食事したとき、割り勘で支払われてこいつケチだなと感じた」とコメントした人がいました。

 でも男女平等の考え方で行くと、「一緒にご飯を食べて、ただでご飯を食べようというあなたのほうがケチなんじゃないですか」ってなるわけです。

 あとは電車での痴漢やストーカーやセクハラに関する問題というのもあります。

 女性から電車で痴漢の被害を受けた男性とか、帰り道もストーカーされた男性もたくさんいますが、それが表に出ないのは、そういった問題は男性は軽視されやすいという風潮があるからだと思います。

 私は大学生時代、ある同級生から約2年半ストーキング行為を受けたことがありました。ただ家族や友達などに話しても全く信用されませんでした。

 酷い人になると、「あなた勘違い男でしょ笑」とか「もっと重い話かと思った!」と笑う人もいて、日本ってまだまだ男女差別の強い国なんだなと感じました。

 こういったストーカーの被害とか、あるいはセクハラの被害や痴漢とかの被害については女性の被害者の方が多いかもしれませんけど、女性から身体を触られることが嫌だと感じる男性もいるという現実は、どこまでの人がはっきりと認識しているのだろうという疑問もあります。

 よく、女性から男性へのセクハラを「逆セクハラ」といいますが、これは「セクハラは男性がする」ことが前提にある気がします。

女性から見た「格差」

出典元:O-DAN

 次は女性から見た「格差」についてみていきます。

 男女格差について、よく挙げられるのが、女性は子供をつくると1年くらい職場を離れないといけないという問題があります。

 1年動けなくなる間に仕事のキャリアで男性と差が出てしまうというのがあります。

 そこで厚生労働省では、男性の育休取得率を増やそうということで、女性と同じように男性の育休を呼びかけて男女格差をなくそうという動きがすでに出ています。

 これは厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」からもってきたデータですが、日本の育休取得率について女性は81.6%に対し、男性は12.65%(令和3年度は「13.97%」)と世界的にかなり低い数字です。

出典元:厚生労働省「雇用均等基本調査」

 

出典元:厚生労働省「雇用均等基本調査」

 令和元年度の男性の育休取得率が7.48%で、令和2年度が12.65%なので、伸び率としては高いんですが、まだまだ男性がなかなか育休に参加できないというのが現状です。

 なので仕事の面では、特にキャリアというのを考えたときに、まだまだ女性にとっては不利な環境であるというのは間違いなさそうです。

 あと家庭に関しても、結婚したら女性が料理をしたり、家事をしたり子育てしたりするのが当たり前だみたいな風潮はまだ残っています。

 料理とか家事ができる女性を「女子力が高い」とかっていいますけど、これも見方を変えれば男女差別という見方もできると思います。

 よく男性が「自分も手伝うよ」っていって洗濯物を畳んだり、料理をつくったりするという話を聞きますけれど、「手伝う」という言葉の裏には、「女性がするもの」という前提がある気がして、特に女性陣にとってもあまり好ましくない言い方なのかなと想像できます。

 「え?手伝う?どの口がいうてんねん」っていう笑。

 私たちは無意識に、男女という物差しで差別的に物事を考えている傾向にあります。という前提があるのだと思います。

男女格差はいつの時代もあった

出典元:O-DAN

 こういった男女差別的なものというのは、現代に限って起きているものではありません

 過去の人の歴史を振り返ってみても、遥か昔にも男女差別は存在していました。

 よく日本の問題について考えるときは外国と比較をしたほうがいいという話があります。

 今回も外国との比較をとおして考えていきたいと思います。そうすることで、現代の日本の男女格差について浮彫りにしたり、先入観にとらわれず客観的に考えることができると思うからです。

 今回は場所だけではなく、時間軸も違うところにします。古代の男女格差までさかのぼっていきます。場所と時間軸が離れたところとして、例として挙げられるところはたくさんありますが、その中の一つに、「アテネ」というところがあります。

 今回はその「アテネ」の世界をピックアップします。

Q「アテネ」というのは都市の名前です。これはどこの国にある都市でしょう?

A ヒントはあのパルテノン神殿が有名なところです。

A パルテノン神殿?

A ギリシャ。

 そうです!アテネというのは、古代ヨーロッパのギリシアにあった都市の名前のことです。古代ギリシア中部にあるアッティカ地方と呼ばれる所にありました。

出典元:O-DAN

 そのアテネについて研究していた栗原麻子という人物は、アテネの女性について、アテネの女性は、家庭をめぐる問題について男性に意見をいったり、批判したりしていたそうです。

 アテネ世界においては、女性の名前は記録として残す価値が無かったということを話しています。当時は、自分の名前を残すことさえ、女性は許されていませんでした。

 また、この時代の人々は大きく3つの身分に分けられます。1つは全人口の約半分を占めていた市民(12万人)、女性を含めた奴隷(8万人)、そして外国人(3万人)です。

 この3つのタイプのなかで、女性と外国人は社会から除外された位置にいました。

 これらの事実から考えてみると、現代では、「男女格差だ」「男女格差は問題だ」とかいわれますけれども、この男女格差というのは、かつての古代ギリシアにあった、アテネ世界の方が顕著だったのではないかと思われます。

 これらの事実から、僕は、現代叫ばれている男女格差についての問題は、むしろ古代の人々の方が強く意識していたのではないかという疑問が生まれました。

 そこで次回の発表では、現在問題になっている格差社会、その中でもとりわけ男女格差についての問題をどう捉えていくかを、アテネの世界から、みなさんと一緒に考察していけたらいいなと思います。

 その具体的な考察の流れとしては、古代ギリシア世界で、アテネの女性はどのように扱われてきたのか、またはどのように考えられてきたのか、主に男性と比較しながら、「家庭」「結婚」「参加」の3つの視点から述べていきたいと思います。

男女格差の視点①「家庭」

 まず、家庭内の主役について、みていきたいと思います。

 はじめの部分で、男女格差について話していきましたけれども、古代ギリシアにおいては、大人の男性女性だけではなくて、まだ男の子、女の子の段階においても、すでに格差がありました。

 だから古代アテネ社会においての女の子たちの生活というのは、男の子たちの生活とは大きく異なっていました。

 さきほど、この時代の人々は、大きく市民、奴隷、外国人の3つタイプに分けられていて、奴隷と外国人は社会から疎外されていたという話をしました。でも厳密にいえば、たとえ市民でも、女性として生まれてしまった人達は、社会から疎外された存在として考えられていました。

 西洋において最大の哲学者の1人であるとされる有名なアリストテレスがいます。彼も女性について批判的な言葉を言っています。

 ではここでみなさんに質問ですが、このアリストテレスのセリフに入る言葉とはなんでしょう?

出典元:O-DAN

Q 女性は話す、何でしょう?

A 動物

A 奴隷

A 家具

 答えは「女性は話す道具である」です。ここからも分かるように、女性もただ男子市民の跡継ぎを生むだけの道具のように見ていたのかなと思われます。

出典元:O-DAN

 またアテネの女性は、土地をもつことにおいてもあまり認められることもなくて、結婚したら女性は、先輩後輩関係なく、男性の支配のもとで常に保護されるという立場に置かれていました。これはつまりどういうことなのかというと、アテネ世界においては、女性は市民ではないということを意味しています。

 そう考えてみると、古代アテネ社会においても、女性は男性より立場が弱い位置にあったのではないか。

 …と、思っていたんですが、よくよく調べてみると、アリストファネスという人物がつくった劇の中(『女の平和』や『女だけの祭』など)には、なんとですね、家庭内において、女性が男性を振りまわすシーンが存在することがわかりました。

出典元:O-DAN

 女性が男性を振りまわすシーンが存在するといっても、物理的になぐったりけったりしたのか、みぞおちを狙って飛び蹴りしたりしたのか、髪の毛を引っ張って振りまわしたのか、あるいは精神的に、言葉で追い詰めたのか、くわしいところはわかりません。

 ただ、実際の結婚生活、男女間での結婚生活においては、女性が男性を支配下に置いていた、家庭では女性の方が立場が強いことが分かりました

 表面的には、古代のアテネ社会では女性の地位は低く、お金の面でも男性中心の制度がとられていましたけれども、現実での家庭の主役というのは、実は女性が握っていたことが判明いたしました。

男女格差の視点②「結婚」

出典元:O-DAN

 つぎは2つめの視点の「結婚」について、さらに詳しく見ていきたいと思います。

 結婚に関しても、女性は市民という身分でなければ、アテネ市民の男性とは結婚できませんでした。その市民になれるかどうかというのは、血縁的なもので、市民の娘としてアテネ世界に生まれない限り、女性たちは市民の母として法律的に認められませんでした。

 このように女性に結婚の制限がかけられたことを考えると、身分の壁が男女に存在しているように思われます。そう考えてみると、古代アテネ社会においても、女性は男性より立場が弱い位置にあったのではないか。

 …と、思っていたんですが、よくよく調べてみると、アテネ世界において制限をかけられたのは、何も女性だけではないことがわかりました。

 実は男性にも、法による規定が主張されていました。具体的にどのような法による規制なのかというと、それは結婚年齢の制限でした。

Q ここでもアリストテレスは、『政治学』という本の中で、結婚年齢の制限について述べています。女子は18歳、男子はいくつでしょう?

出典元:O-DAN

 16歳? 昔の男性の一人前って早かった気がするので。20歳くらい? 

 15歳。

 15歳くらい。

 

 アリストテレスは、女子は18歳、男子は37歳が結婚に最適なカップルであるとしています。

出典元:O-DAN

 えーーっ!

Q プラトンという人も『法律』という本の中で、女子は16歳から20歳、男子は30歳から35歳が結婚年齢の最適な基準だろうとしています。

 なぜ、結婚に最適なカップルの年齢が、女子は18才、男性は37歳なのでしょうか。2つ、理由があります。その2つとは何でしょう?

出典元:O-DAN

 当時としては長生きだと思うので。財力があるから。財力を持っているという証明が養える。

 どんどん結婚して、女性は男性の世話をするっていうので、どんどん年をとっている。ずっと世話をするため。

 出産ですかね。当時の出産事情はわからないですけど。安全に子供を産むため。元気に赤ちゃんを産めるのだろうかと。市民なので財力がどれくらいあるのかわからないんですけど。

 理由は2つあって、

 1つは、アテネ社会では「男性は身体的に女性と比べ未熟である」と考えられていたから。

 そしてもう1つは、「男性は女性よりも、精神年齢が低いから」と考えられていたからです。

 そのため市民という身分の息子であったとしても、結婚年齢に達していなければ大人として扱われませんでした。

 エジプトにあるアレクサンドリアと呼ばれる場所にいたフィロンという人物も『世界の創造』という本の中で、20歳の男性は成年には程遠く、まだまだ男の子であるとしています。フィロンは、つまり男が20才になっても、まだまだおこちゃまなんだということを述べています。

 確かに現代の日本の世界を見てみても、結婚可能な年齢は女子が16歳、男子が18歳(現在は男女とも18歳)と、男性のほうが年齢が高かったんですけど、…今も、やっぱり、男性の方が、女性よりも精神年齢が低いからというのが、現状としてあるそうです。

映画『モテキ』が示す男女の決定的な違い

 ところでみなさん、『モテキ』という映画をみたことがありますか。30年間、恋人がいないもてないある男性が、一度に複数の女性にモテるというお話なんですけど、その中で1人のある女性が、男女の決定的な違いについて話しているシーンがありました。

 それがこのような画面のセリフです。

 ここでは、女性が男性よりも、精神的に大人にならざるを得ない理由が述べられています。

Q 男女の決定的違いについて、彼女がいったセリフとは何でしょう?

A 男の人って一つのことに集中する傾向がある気がして、女の人は子育てしたり家事したりいろんなことをしないといけない。

「女性はいろんなことを考えないといけないんですよ。」だと思います。子育てを手伝うよっていう。赤ちゃんのことを気にかけてね。

A 男性はどんなに頑張っても産めない。子供は産めない。女性だけのものというか。

 まあでも男性は絶対そういう境遇にはならないから、そういうことを考える必要はないけど、自分の体から別のものが出てくるというのがないけど、女性はそういうことを向き合わないといけないわけだから、そういう面では意識が違う、自分以外の人っていうか考えるときが一度はある。男性は出産しないからですね。

 でも女性は自分を見つめる。産むか産まないかを考える。でも男性はそれはしなくていい。そういう意味ではあるのでは。

Q おおーっ…なるほどですね。ありがとうございます。回答が女性陣ばかりなので、男性陣にもきいてみたいですね。男性陣はどう思いますか?

A うーん…なんでなんですかねぇ。考え方的に女性のほうが大人っぽい考え方ですよね。とても現実的というか…。

A そうですね…。産むときに命をかける「子供を産むときは命がけなんですよ」だと思います。

 この女性がいったセリフですが、「男と女の、決定的な違いって何か分かりますか? 子供が産めるリミットなんですよ。だから、待っている時間にも限界があるんですよ。」(映画『モテキ』より)です。

 その言葉を聞いたときに、あ、だから女性は男性よりも精神的に大人になっていく必要性があったんだと分かりました。

 実際、臨床心理学者メグ・ジェイの『人生は20代で決まる』によると、女性が子どもを産む確率は28歳までをピークにして、そこから、だんだんだんだん子供を生める確率が減っていくことが分かっているようです。

 男性も生殖機能は衰えていきますけれど、50代、60代でも、自分の子供をつくることは可能です。

 つまり女性として生まれて、子どもを産みたかったら、基本的に20代で子どもを産まないといけないんです。

出典元:O-DAN

 そういった意味でも、やっぱり男性側であれば、女性の方が、精神的に強いのだということ、精神年齢的に上なんだということを、謙虚に認めなければならないのかなと思われます。

A あら。謙虚に受け止めるんですね。おほほほほほ。

男女格差の視点③「参加」

出典元:O-DAN

 それでは最後の視点「参加」について、見ていきたいと思います。

 アテネの文化では、劇のコンテストをするお祭りが存在していました。

 これは、古代ギリシアの神のために開催されたものです。芸術の神とか、守護神とか、農作の神とか、そういったオリンポス十二神とよばれる神のために、開催されたものであったので、演劇は当時の人々にとっては大事な行事の一つとされました。

 この重要な演劇の鑑賞に関しても、社会的地位の低さから女性は、劇の入場は許されていませんでした。反対に男性は国から入場料を支給されて、経済的に貧しくても劇の鑑賞は認められていました。

 そう考えてみると、古代アテネ社会においても、女性は男性より立場が弱い位置にあったのではないか。

 …と、思っていたんですが、よくよく調べてみると、これはあくまで基本的な構造であることが分かりました。

出典元:O-DAN

 実際は女性であっても、特別な女性に関しては入場が認められていました。特別な女性というのは、例えば神に仕えている巫女や、地位の高い貴婦人(または扇を使って歌を歌う白拍子と呼ばれる女性など)を指しています。

 わずかではありますが、そもそも鑑賞の資格に女性の制限はなかったという記述も存在しています。

 逆に男の子の演劇の鑑賞に関していえば、性別は男とはいっても、女性が入場できないものは男の子は同様に入場が許されていませんでした。

 男の子では男性中心の社会構造の中でも、女性より立場が低かったということです。男性の下に女性がいて、その下に男の子がいる。そのような事実から考えると、アテネ社会では必ずしも女は男よりも身分が低かったとは言い切れないと思います。

 確かに法律上は女性に規制はかかっていますけれど、現実には男性と変わらない権威を持っていたと思われます。

出典元:O-DAN

 これは戦争に関しても同様で、ヘロドトスという人物が書いた『民族誌』からも、男女の関係を見ると、アルテミシアという女性は戦争で男性たちにアドバイスを行っていて、実際に男のように敵と戦っていたという記述が存在しています。

 この『民族誌』には、王が男性顔負けの彼女の姿を見ながら「わが軍の男どもは、まるで女のようになってしまった…。」と嘆く場面であるだとか、ヘロドトス自身が彼女の行為を「勇気のある人」と表現していました。

 このような彼女の行為も含めて、古代ギリシア世界というのは、男性に権力があるというのは表面的であって、実際の内部事情というのは、決して実質を持っていたわけではないことが明らかとなりました。

結論

出典元:O-DAN

 今回の発表では、格差について、そのなかでもとりわけ男女格差を柱に、古代と現代との時間軸の間をいったり来たりしながら、大きく家庭、結婚、参加という3つの視点から考察してみました。

 その結果分かったことは、やはり2500年前の古代アテネ世界でも、男女格差は依然として存在していたことです。

 ただ、確かに法律上古代のアテネ世界において、女性の地位は低く、表面では男性と女性、市民と奴隷などの身分格差があっても、例えば女性以上に結婚年齢に制限が主張された男性、男の子以上に劇の鑑賞を認められた女性が存在したという例から、現実との食い違い、相違がある事が分かりました。

 つまり「現実での格差は異なる」ということですね。

 また、今回アテネ世界をまとめるにあたって、格差は正しいか間違っているか、といった格差そのものを問題とすることが不自然であるように思われました。

 男女の結婚年齢の違いについて例を挙げれば、男女の身体と心の発達の違いを無視して最適な結婚年齢を等しくすることも、一つの男女格差であるとも考えられるからです。

出典元:O-DAN

 今後、日本の男女の結婚年齢は男性も女性も18歳(現在は男女18歳)になるんですけど、これは男女それぞれの心身の違いというのを無視しているということで、それこそ、男女不平等になるのかもしれません。

 日本国憲法の第14条では「人は生まれながらにして、法の下の平等」という文がありますけれど、じゃあ、男女18歳以上でしか結婚できないのだとしたら、女性は…精神年齢の低い男としか結婚ができなくなってしまう。同年代と結婚する場合はですね。もちろん相手にもよるでしょうけれど。

 それは果たして、平等だといえるのか。

出典元:O-DAN

 もしかすると格差について考えるときは、その是非ではなくて、つまり格差が正しいのか、間違っているのかということではなくて、自分たち一人ひとりが、どのように格差を受け止めていくかを問題とするということが大切であるのかなと思いました。

 つまり「問題なのは格差の受け止め方」であって、「格差の是非が問題ではない」ということですね。

 アテネ世界に関しても結局、男女どっちの格差があるのかわかりませんでしたが、つまりそういった混沌的な世界が人間の世界であるといえるのかなと思われました。

 今後も私たちが格差社会を生きていくという心構えとして、どのように私達は、現代の格差というのを受け入れたらいいのか、社会的な問題となっている男女格差というのをどう考えていけばいいのかというのを、掘り下げていく必要性があるのかなと、アテネの世界を例に考察しましたということで、僕の発表は終わりたいと思います。

感想

A アテネの話面白かったです。昔の日本のことも調べてみると、日本って昔も女性が虐げられていた。でも実態は違うのではないかと思います。

 例えばよく「女は男の3歩後ろ歩け」とあります。

 実はこれ女性の立場が弱いからじゃなくて、「男は女より前に出て盾になる」という意味もあるみたいです。

 自分たちは昔の絵本を例にしてその言葉尻だけをとらえていますけど、それだと視野を狭めてしまうのかなって思いました。

 昔のことを今の物差しでみるというのはどうなのか。その言葉の裏になにかある。そういった背景も考えていく必要があると思います。

A 私が小さいころ「お前女みたいだな」っていうセリフのある絵本がありました。

 全体としては面白い絵本なのに、小学校の読み聞かせでそのセリフが1つあるだけでもう読めなくなってしまう。今の時代はそういう時代だと思います。

 さきほどの男女格差の話もきいて、この絵本についても、もうちょっと多角的に考えないといけないなと思いました。

A 結婚の話。女性18歳。男性37歳。けっこう想像できなかった答えでびっくりしました。

 昭和の男性とかだったら、男は台所にはいってはいけないとか、今の時代はなくなってきてる。最近の男性は料理したり掃除したり家事ができる男性が増えてきてるので、今と昔では違う。

 昔は男は理容室にいって、女性は美容院に行く時代。

 私は理容師ですが、今の時代相手にするお客さんの半分以上は男性は美容院にいってると思う。

 それから男性でも化粧する人も増えているし、男性も脱毛とかめちゃくちゃはやっているらしいし。ファンデーション塗る男性も増えている。

A ILLOは男女兼用です。そのために開発している。国産のファンデーション。

 女性用の化粧品はとても種類が多い。でもこれは2色しかないから選びやすい。

A いやぁすごい。この日ためにめちゃくちゃ時間かけてつくったのかと思うと凄いなぁって思いました。ありがとうございました。

【参考文献・データ等】

・厚生労働省「雇用均等基本調査

・川野佐江子ほか「男性化粧に対する現代人の意識とその社会的背景

・栗原麻子「前4世紀アテナイにおける通婚禁止令とアポロドロス弁論の女たち

・アリストテレス『政治学』

・プラトン『法律』

・フィロン『世界の創造』

・メグ・ジェイ『人生は20代で決まる 仕事・恋愛・将来設計』

・映画「モテキ」

・三浦一郎「紀元前五、四世紀のアテナイの勸客」

2022/03/29

男女格差について ~アテネ世界を参考に~

コメント

タイトルとURLをコピーしました