本の概要
作者である外山さんは、日本語や思考についての研究されている大学の教授の方です、その方が書いた本になります、その人が実際に生活するにあたって、話すとか書くとか読むとかについて気づいたことをまとめたものになります。
かなり内容が濃くて事象が多いのですべてを紹介することはできないんですけど、4つ面白いと思ったものを紹介します。
面白いと思ったところ4つ
①「、」と「。」
まずこの中で個人的に面白いと思ったのが、「、」と「。」という題です、通常終わりは「。」をつける、一旦文を区切るのは「、」をつける、外山さんはそれに縛られると文章の流れ的に勢いのない文章になるんじゃないかということであえて「。」をつけないということをしています。
例えば、次のような文です。
しかし、批評の基礎はつねに万人の承認する事実に置かれていなければならない、その意味からいっても、修辞的残像のようなものをてがかりにして、そういう人間精神の共通現象の一部を組織化することは可能であり、また意義のあることのように思われる。
外山滋比古『ことばの教養』中央公論新社
「~置かれていなければならない」の最後は「。」にするのが一般的には正しい、しかし外山さんはあえて「、」にしている、なぜかというと、「~置かれていなければならない」の部分と「その意味からいっても~」という文は繋がっているからです。
外山さんは流れるような文にしなければならないと話しています、「。」で区切ってしまうと迫力のないおかしな文になると思ってあえて「、」にしている「。」この点からいっても学校で習ったことが正しければ終わりの文は「。」にするべき。
僕はあえてそうしないほうがいいという場合もあるということがこの「、」で感じました、今まで常識とされてきたことを違った方向で使ってみてもいいのかなと僕は思いました。
質疑応答・感想
Q 「、」の使い方については面白いなと思いました。では一方で、「。」を使う場合はどのようなときですか。
A 前後の意味が完全に区切られるとき「。」を使うのだと思います、その意味が連続して流れていっている。
Q 文が連続しているのであれば、1ページずっと「、」だけでつながっていることもありえるのでしょうか。
A あり得ますね、意味が繋がっているのであれば、「、」で続くこともあります。
A ここで使われてる「、」って普段自分たちが使ってる「、」と「。」の中間みたいな感じですよね。
A それが出ると視野が広がる感じがします、表現の幅も広くなって面白いなと思います。
②読み急ぎ
2点目は「読み急ぎ」です。
著者の外山さんという人は戦前生まれの方でご年配の方なんですけど、慌ただしい読書をする人が非常に多くなったと指摘しています。
戦後になると戦前と比べて本がたくさん出るようになった。それに従って早く読むことが良くなると。情報化時代もきてたくさんよむことが良いということになった。速く読んでざっくりとらえるということが多くなったと。
しかし外山さん自身は、これは表面的な読書であって、インスタント読書だと言っています。
やっぱり本当に影響を受けたのはすぐ忘れると、何回も何回も読み直すうちにわかってきて、腑に落ちていくということが大抵であるとおっしゃっています。
やっぱりもっとゆっくり読むといことを大事にするべきだと、世間一般でいう悪い読み方をしたほうがいいのではないかと述べています。
読み急ぎは今だったらもっと速読したほうがいいという考え方が根強く残っているように思います。
やっぱり何でもかんでもはやく読むのがいいとういのではなく、ゆっくり読むのが大事だと私も思いますし、自分自身の経験でも、ちゃんとわかるようになるには何回も何回も読むというのが大事だと思いました。
外山さんの読み急ぎという話は非常に共感できるところがあると思います。今一度見直す必要があるのかなと私は思いました。
質疑応答・感想
A なんか高校生のときに国語の授業とかで、「早く読めるようになりましょう」ということをやるわけじゃないですか、受験勉強とかで、これって結局あまり早く読むことが何か役立ったかときかれてもあんまり役立っていないかもしれない。
高校生までは読書が楽しいという経験はないと思いますね。
A たしかに楽しいと思ったのはゆっくり読んだ本が大抵ですね。
A 一方で私はなんか自分が予想していた本よりも早く読み終わった本はあるんですよね。これは早く読もうとして読んだわけじゃないから、結果的に早かっただけですね。そういうものは別にいいと思うんですけど。
A 仕事とか受験とか速球にしないといけないものはざっくりと意味をとらえるのは必要ですけど、学ぶという意味ではゆっくり読むのは大事にするべきだと思いますね。
A 目的ですよね。読書の。浅い理解でもいいから読むというなら早く読むのがいいんでしょうけど、そういう必要性があればですけど、私の場合はそれがなかったんですね、高校生以来ですね。
A だからどっちがあってもいいでしょうね、どっちかがだめだというのはちょっと違うと思いますね。だから遅く読むことのメリットもあるでしょうね。それぞれのメリットを使い分けるのがいいと思います。
私はどちらかというと遅く読むタイプですね、私はそっちを大事にしたい派ですね。
A 人間理解もそんな感じがしますよね。少ししか話していない相手のことを理解した気になっているのは問題だと思います。読書のように何度も読み返してみて、理解しようという姿勢が大事だと思います。
A ぱっと見いいなと思ってても、しっかり話してみると実はという方もいますね。読む以外にも応用が効く教えかもしれないですね。
A 本の読み方というのが、人間関係にまで発展するのは意外な展開ですね。
A スローな読書術の本、たしかに速読流行っていますけど、自分が大して読みたく内本は頭に入ってこないですね。
③辞書を読む
3点目。辞書を読む。辞書というのは、わからないところを調べるのが一般的。
でも外山さんはわかっている単語もゆっくり読む、そうすることによってわかりきっていると思ってたのに知らなかったことが意外にわかってくると。
そもそもわからないときだけ辞書を使うというのがおかしいと言っています。使う時だけつかってあとはほったらかしにするのはよくない。
でもこれ人間関係でいくとどうなのか。用事があるときだけかかわるひとと付き合いたいか。そうでないですよね。本もそういうふうに扱うのですかと問いかけてきます。
それをきいて僕も思うところがありましたね。辞書を読むという経験はないんですけど、いろいろ僕は損してきたのかなと思いますし、本とか人間関係とかものとかもそうですけど、もっと付き合い方を変えていくと新しい発見が出てきて、視野が広がっていい学びができるのではないかと思いますね。
質疑応答・感想
A ないですねぇ辞書を読んだことは笑
A あるという方が異常だと思います。
A そもそも辞書を持っていない。グーグル先生はよくないのかもしれないですね。家に百科事典を飾っている人って本当に読んでいるのかなって思いましたけど、読んでるんでしょうね。
A 百科事典を丁寧に読んだ人っていないでしょうね。必要に応じて開くというのがいいでしょうね、これ読んでたまたま国語辞書とかあるんで気になって読んでみようと思いましたけど、もしかしたら新しい学びとか得られるかもしれない。
A そういえば労働安全衛生法の辞書を読み物として読んでいる人がいました笑 これ1冊ではなくて合計3冊あるものなんですけど、一読したらしいです笑
A 法律をまとめたものって、語句の定義がすごい前の方にあったりとかするのでけっこうしんどいと思いますけどね。それが普通に読めるというのは、プロでないですかねけっこう。
A 私も法律では消防法を扱うことがあるんですが、よくわからないですね。どこを指しているのかわからないというのが一番つらいかな…。
④便りの良さ
最後4点目。「便りの良さ」というのもになります。
著者の外山さんは手紙が結構好きな方。手紙が来るとすごいワクワクする気持ちになるそうです。手紙のいいところは、控え目であると。便りがきても開かないと中身が読めない、それがいいと。これが電話とかだったら否応なしに呼び出される。
今だったらメールもそう、否応なしに要件が書いてあって、強制的に人に読ませる。
その点手紙というのはそういうのが一切ないので外山さんは良いとおっしゃっていますね。
やっぱり手紙からはその人の想いというのが伝わるといっていますね。手間暇かかっているわけですから、その人なりの想いというのが伝わると話しています、そういう意味で便りというのは、心と心の繋がりだといわれています。
これきいて感じたのは、今は人との繋がりが薄くなっていると、一つはやっぱり外山さんがいっているように、心と心が通じ合うものが少なくなっているのかなと思います。
今は便利さを求めてスピード感とか求められるんで、メールとかそういうもののツールも必要だと思うんですけど、人との心の通じ合いというのが感じにくくなっていると。便りというツールも私生活に取り入れるのはいいのかなというふうに思いました。
質疑応答・感想
A メールに慣れると手紙がたまに届いたときにはがきがうちになかったり、手紙を書く練習が足りてたりしないんですよね私。なのでうまく返事がかけるようになりたいなと思いますねたしかに。
A 私も手紙を書けていないので、自分なりにかけるものがあればいいですね。上手く書こうとするんじゃなくて。
A はがきじゃなくて封筒にいれる便箋の前提ですね。
A この著者の方は「年賀状もうれしい」と述べています。たしかに自筆で名前を書くだけでも印象は違う。
A そうですね、自筆って嬉しいですよね。
A ちょっとした手間を入れるのがいいみたいですね。
A たしかに手紙は印象に残っていますね。
A 中学校の頃に手紙をもらった方の記憶はいまでも私は覚えていますね。
A タイトルとか名前を自筆で書くというところから始めたほうがいいと思いますね。
A 確かに手紙の効果は抜群ですね。ゆっくり&アナログのよさありますよね。
2022/06/14
【読書会】外山滋比古『ことばの教養』
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