今回は、日常で役立つ因数分解について話します。
因数分解は、私たちが子供の時に数学で習ったものです。
端的に言うと、因数分解は共通している部分を見つけて括弧でくくるものです。
【復習】そもそも因数分解とは?
復習です。
例えば、AX+BX+CXという式があって、これを因数分解するとします。
この式の中で共通しているものはXです。
なのでXでくくります。
すると
AX+BX+CX=X(A+B+C)
の式になります。
たくさんある中で共通の部分を見つけて、1つのグループにまとめる。これが因数分解です。
社会人になると頭のいい人とか仕事ができる人ほど数学ができるという話をよく聞きます。
実際、ビジネス本でも科学的な論文でも、数学ができる人と収入は相関関係にあることが分かっています。
【因数分解を使った例】ビートたけしの映画
映画でXという人物が、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんを倒す場面を考えてみます。
例えば、ビートたけしは映画に因数分解を使ったとして有名です。
単純に一人ずつ倒すと考えると、
AさんのところにXが倒しにいって、次にBさんのところにいってXが倒しにいって、その次はCさん、最後はDさん…ということを繰り返します。
これを式にすると、
AX+BX+CX+DX
になります。
ここでいうXは斬りたおすシーンとします。
これだと映画では間延びしてしまうとビートたけしさんは述べています。
そこでどうするのかというと、まずはXがAさんを倒すシーンを撮ります。するとAさんが倒れます。
そのあとに、Bさん、Cさん、Dさんも既に倒れているシーンを映す。
するとBさんからDさんまで斬りたおすシーンを入れなくても、XがAさんからDさんまで倒したんだということが観客には伝わる。
これをビートたけしさんは、
AX+BX+CX+DX=X(A+B+C+D)
に因数分解したと話しています。
そうすれば説明も省けて映画もシャープになると答えています。
詳しくは『間抜けの構造』というビートたけしさんの本に書かれています。興味があれば読んでみてください。
これが因数分解を実際に生かした例です。
因数分解は日常で使える?
とはいっても、私たちは将来映画監督になるわけではありません。
仮に映画監督になりたいと希望して努力したとしてもなかなか厳しいのが現実的な答えです。
なので、「因数分解は映画の撮影で使えるんですよ。」といったとしても「はぁそうですか。」で終わります。
そこで、
Qこの因数分解を日常で使うとしたら何があるのか。
という疑問が生まれました。
つまり共通している部分を見つけて、1つのグループにまとめる。それを日常に応用できないか。
ということで、因数分解を使った実用的な方法を5つ考えてみました。
では順に紹介していきます。
【実例】因数分解を使った実用的な方法
【因数分解の使い方①:クローゼットの収納】
因数分解を日常に使う方法の一つ目は、クローゼットの収納です。
例えば、私が使っていたクローゼットの中は、大体こんな感じでした。
上着とか、ズボンとか、シャツとかそれぞれハンガーにかけていました。
これらの衣服を数式で表すとします。
するとこうなります。
・X=ハンガー
・A=ネクタイ
・B=ズボン
・C=肌着
・D=シャツ
・E=スーツ
それぞれX、つまりハンガーがかかっているので、数式で表すとこうなります。
AX+BX+CX+DX+EX
ここで因数分解を考えたときに、全てに共通しているものは何かというと、X、つまりハンガーです。
すると因数分解することができるので、以下の式にできます。
AX+BX+CX+DX+EX
=X(A+B+C+D+E)
ここで、ハンガーが共通しているのであれば、スーツ、シャツ、肌着、ズボン、ネクタイをそれぞれかけるのではなく、一つにまとめるられることに気づきます。
すると、このようにスッキリします。
Xでまとめれば、つまりハンガーでまとめれば、忙しい朝とかに服を1つひとつ探す手間も減る。
シャツはどこだっけとか、ズボンどこにあるんだろうっていうのもなくなる。
ぱって取り出すだけでいい。
朝の忙しい時間も効率的に使うことができます。
ちなみに仕事以外にも、スポーツ、プライベート、作業着などに分けて、最初から1セットでまとめればこのように収納も楽になります。
これが因数分解を使う1つ目の方法でした。
【因数分解の使い方②:グループLINEを作る】
2つ目の方法は、グループLINEを作るです。
多くの人が作った経験があるものとして、グループLINEというのがあります。
例えば読書会などイベントを開く際に、一人ひとりにLINEで連絡するとします。
この作業を数式に置き換えてしてみます。
・X=読書会のイベント周知
・A、B、C、D、E=読書会に誘いたい人
一人ひとりにLINEで5人読書会に誘うとすると次のような式になります。
AX+BX+CX+DX+EX
Xの読書会の周知が共通しているので、これを因数分解します。
AX+BX+CX+DX+EX
=X(A+B+C+D+E)
先ほどのハンガーの例の場合は、そのままXを当てはめればよかったんですが、ここでは1回で周知できる方法Xはないかと考えます。
先に答えを述べましたが、XにあたるものがあるとすればグループLINEがありますね。
するとこれまで5回の周知が必要だったものがグループLINEを作ることで1回の周知で済むようになりました。
開催場所もGoogleマップのサイトを送ることもできます。
同じことを多くの人に伝えるのであればグループLINEを作って1回で作る。
こういったZOOM勉強会とかも、1回グループLINEでいついつやりますよと発信するだけで効率よく全員に周知できている。
同じ内容を周知するのに、意外にグループLINEを作らず、一人ひとり声をかけている人もいます。
実は二度手間なことをしていた可能性もあるので、グループLINEを作って周知する方法も取り入れてみてはどうでしょうか。
【因数分解の使い方③:役所の手続き】
3つめは役所の手続きです。
役所の手続きって面倒ですよね。
昔と比べれば大分融通は効くようにはなりましたけど、まだまだ紙で処理している機関は多いです。
例えば、会社で事務のお仕事をすると、36協定の手続きとか、雇用保険の手続きとか、年金関係の手続きとか、色々な役所に行って届け出なければなりません。
A機関にいったら、次はB機関と次々に手続きしにいきます。
ただ、せっかく届け出にいったとしても、1つ項目が抜けているから出し直しです、またもってきてくださいなんていうところもあったりします。
するとまた届け出にいかないといけなくなります。
この場合も先ほどのグループLINEの例と同様に考えてみます。
届出が楽になる方法Xはないかと考えます。
Q 実は会社に居ながらでも役所で手続きできる方法が実はあります。それは何かご存じですか?
A コンビニでマイナンバー使って住民票の手続きとかできたよね。だからマイナンバーを使うんじゃないかな?
A 正解は電子申請です!
仮に一つの機関に行って一つの手続きをするのに、会社からの移動時間も含めて1回1時間と計算したとします。
すると1日8時間の労働時間では最大8回までしか役所での手続きができません。
それが会社にいながらでも、あるいはテレワークしながらでもできるようになれば、すぐ送ることができる。ネットでe-Gov(イーガブ)と調べればできるようになります。
2023年2月28日の時点のデータですが、今は厚生労働省が4,657、国土交通省が196、経済産業省が142、環境省が15と約5,000もの手続きがもうネットでできるようになっています。
このように因数分解をして共通のXがわかれば、あとは具体的な方法Xが何か探せば解決策に出会える確率が高くなります。
ちなみに、電子申請の導入は過重労働対策にも繋がるので、残業時間などの労働時間を減らす方法のひとつとして効果的です。
ここまでが因数分解を使った3つめの方法でした。
【因数分解の使い方④:会話を盛り上げる】
4つめの方法は、人間関係に応用するです。
3人で会話すると、2対1になりやすい。特に年頃の女の子とか多いかもしれない。
でも共通項を探せばかっこでくくることができる。
因数分解を会話に応用することで、対話を面白くさせることができます。
例えばAさんとBさんとCさんの興味関心が次のようなものだったとします。
Aさん:資格、本、チベットスナギツネ
Bさん:資格、腹筋、本
Cさん:本、腹筋、チベットスナギツネ
AさんとBさんはスキルアップに興味があるので、ずっと資格の話とかしてる。
でもCさんは資格の取得には興味がないので蚊帳の外です。
ということで気を利かせたBさんがCさんが関心を持っている腹筋について話題をふりました。
するとCさんはプロテインの話とか「最近笑いすぎて腹筋がシックスパックになったんですよ」とか話してる。
「笑いすぎて腹筋がシックスパックって、どんだけCさん笑ったんですか」とか今度はBさんとCさんが盛り上がってる。
でもAさんはプロテインとか腹筋とか話は全然興味ないので今度はAさんが傍観してる。
ということで今後はCさんがAさんに気を遣ってチベットスナギツネの話を…ということを繰り返します。
ですが、次はBさんがその話に興味がなかったという彼方立てれば此方が立たぬ状態になっています。
じゃあどうすればいいのか。因数分解します。
Aさんたちが興味のある話題ついて全て文字に置き換えるとします。
A=資格
B=本
C=チベットスナギツネ
D=腹筋
この式を計算します。
(A+B+C)+(A+D+B)+(B+D+C)
(A+B+C)+(A+D+B)+(B+D+C)
=2A+3B+2C+2D
=3B+2(A+C+D)
この式を見ると、Aの資格、Cのチベットスナギツネ、Dの腹筋の話題は2人に分かれる。2対1に分かれて気まずくなりそうだということがわかる。
AとCとD、つまり資格、チベットスナギツネ、腹筋の話は避けた方が良い話題ということです。
でもBの本の話は3人に共通していることがわかります。
つまりこの3人が集まったら、何の話をするべきかというと、共通の話題であるB、つまり本の話題をすればいいということです。
簡単に言えば、盛り上がるためには共通項は何か、つまり共通の話題は何かに焦点を当てると、3人で盛り上がることができるので、人間関係は良くなるということです。
【因数分解の使い方⑤:材料の購入】
因数分解の計算式をダイレクトに使う方法を最後に紹介します。
例えば、あなたが新規で卓球サークルを作るため、ボールを購入するとします。
集まったメンバーが22人で、一人卓球のボールを4個くらい使うと計算して、全部で88個必要だとします。
卓球のボールは、1個92円とします。
1個92円の卓球ボールを88個まとめて買うとします。
いくら必要なのか。
これは因数分解を応用するとすぐに合計で8096円必要だということがわかります。
どうやって出したのか。
因数分解を使った具体的な計算を解説します。
92円と88個という数字を分解するとこうなります。
・92円は、90円に2円を足した数字
・88個は、90個から2個を引いた数
これを式にすると以下になります。
(90円+2円)×(90個-2個)
それぞれ左同士と右同士が同じ数字であればそのままかけることができるので、以下の計算ができます。
(90×90)+(2×-2)
=8100-4
=8096円
うまく因数分解すれば、すっきりとした式で計算し、答えを出すことができます。
まとめ
因数分解の使い方を一言でまとめると、「共通している部分Xを計算して見つけて、そのXを使った方法を考える」ことです。
今回紹介したものは以下のような例がありました。
・クローゼットの収納では1つのハンガーに予めコーディネートした衣服をかけておく
・読書会の周知ではグループLINEを作って1回で伝える
・役所の手続きは電子申請を利用してパソコン1台で済ませる
・人間関係では共通の話題を1つ見つけて話すと盛り上がる
冒頭でも話したように頭のいい人ほど数学ができます。
子供の時は、社会や日常などでいったい何の役に立つかよく分からなかった数学も、このように応用していけば人間関係や仕事にも応用することができます。
繰り返しますが、因数分解はたくさんあるなかで共通しているものを探して、その共通したものを使ってたくさんのものを一気に処理して使うことが大切です。
何かあなたの生活で因数分解ができないかを考えて、うまく応用してみると人生が楽になると思います。
因数分解に関する質問・感想など
A 因数分解でいうXの部分。個人のクローゼットの収納の例だと、XとABCDEが見ている状況。そこからどのようなものを置いたほうがいいのかを考える。
一方で、大多数にとってXとは何かも考える必要がある。自分がXになる場合もあるかもしれない。
Q そもそも何がXで何がAとBなのか見つけることが大事ですよね。そもそも見えない。
A 今回の例の場合は、すでにXが何で、AとBが何かが気付いている状態。変数Xが見えている。
因数分解の変数が見えているところがすごいなと思いました。
Q Xを大きく見積もりすぎてもね。日本の課題は何かをXとみてもどうなのか。この場合、もう少し狭める必要がある。
A 例えば、日本の課題を狭めた例として、ワークライフバランスの問題がありますよね。仕事もしながら同時に育児もしないといけない。
これを豊田市役所では、職場内に子供を連れて仕事をしながら育児をしてもいいという制度を採用したんですよね。
A あ!なるほど、豊田市役所はX=スペースだと気づいたんやね。育児がAで仕事がBだとしたら、X(A+B)に因数分解したってことか。
A 私の場合は、因数分解を無限のあるなかから絞り出すよりは、最終的に何をしたいのか、不要なものを削っていく作業を探すものというイメージですね。
ビートたけしなら間延びする映画ってつまらないという美学があって、重複するところを省けばいいという考えただと思います。
共通項を見つけていく作業は途方もないですよね。因数分解をする作業ってそのあたりも絞れてきた段階での状況だと思います。
ビートたけしさんの場合は、たくさんあるなかで4こに絞るのが大切だという視点でしょうね。
自分を俯瞰してみる視点というか、そういうものにつながる気がしました。
A これデザインの観点からいうとコンセプトがXなんですよ。
「1000個くらい考える時間もないので、あえてこの視点で見る」というのをコンセプトという。たぶんそういうことなんじゃないかなと思います。
A クローゼットの収納について、スペースを確保するという視点がありました。
洗濯するタイミングが違う場合は、収納しやすい。ジャケットは月1とかなる。コンセプトが違う。
考える視点によってクローゼットの形が違う可能性もある。シャツは毎日洗濯するから、切り分けてもいいかもしれない。
どこを見るかによって変わる気がしますね。1つの正解としてそれがあるということですね。
A 因数分解も絞るという考え方として共通していますよね。
A 安全関係のお仕事では工場の物の整理とか、持ち物の定期点検で因数分解を使っているかもしれない。
A 人に伝えるとなると、因数分解されていない式を見るとなると苦痛ですよね。重複してたりごちゃごちゃしてたり。実は書類を書くのも因数分解ですね。
A 因数分解は使う人によって自由に応用できる。いま出てきた例は誰も間違っていない。
社会とか会社とか、こういうプレゼンとかも含めて、少しずつ因数分解の能力を高めるのは大事だと思いますね。
因数分解の能力を高めることは、今日の夕飯の2時間前になって何を買おうかと悩むことから、究極的には人生のこととか考えることにも繋がりそうですね。ある程度整理しないといけない。
A 今回紹介された例は、中学生向けに使えるかもしれない。わかりやすいですね。実は因数分解は使えるっていう。
【参考文献・データ等】
・ビートたけし「間抜けの構造」
・NHK「市職員が子連れ出勤の取り組み 世話しながら仕事も 愛知 豊明」
2023/03/21
【実は役立つ!】日常生活で使える因数分解の使い方
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